おはなし★故事★stories
自分は他のどこにもいないし、おそらくまあ世界に一人でしょう。しかもどうせ死ぬわけだから、その間ぐらい自分を大事にしないと。(河合隼雄)
2008.01.10 (Thu)
魯班木鳶を造る
その昔、敦煌に魯班という人がおった。子供のころから手先が器用で、凧を作るのが得意じゃった。その後も父親から大工仕事を教わり、建物だけでなく、橋や寺、塔などを建てて、河西一帯では有名になっておった。
魯班が結婚して間もないころ、凉州(現在の武威)のお坊さんから仏塔を建ててほしいとの声がかかった。それに応えて、毎日凉州で仕事をしておったが、故郷に残してきた両親が心配でしようがない。それにもまして新妻のことが気にかかっておったのじゃった。
魯班は仕事を遅らせないで、家にも帰れる方法はないものかと考えた。
ふと見た空には鳥たちが飛んでおった。それを見て魯班は木で鳶(とび)を作ることを思いついたのじゃった。そしてその鳶に空を飛ぶための装置を取り付けた。鳶にまたがって、装置のくさびを3回たたくと、なんと鳶は空に舞い上がったではないか。しばらく飛んでいると敦煌の家まで帰りついてしまったじゃ。
それを見た女房は大喜びしたのじゃが、このことを魯班の両親に伝えると腰を抜かすのではないかと思って黙っておった。魯班はひと晩泊まると翌朝早く凉州に飛んで帰った。
こんな具合にしばらく往復しておったのじゃが、そのうちに女房のおなかが大きくなってきた。それを見た魯班の両親は不貞に違いない、と女房をとがめたのじゃった。
「魯班様は毎晩、木で作られた鳶に乗って帰っておいでです。信じられないのも無理はありません。今晩ご自分の目でお確かめください。」
夜になるといつもどおり魯班は鳶に乗って飛んで来た。それで騒ぎも収まったのじゃが、今度は父親が「息子よ。明日は仕事に出かけないで、家で休みをとったらどうじゃ。その間に、ワシにその鳶に乗せてくれんかのぉ。」と頼んだ。
翌朝、魯班は父親に操作方法を教えた。「近くまでなら少なめにくさびをたたくんだ。遠くへ行くときは多めにだ。明日は仕事へ行かなくちゃいけないから、早めに帰って来ておくれよ。」
父親は遠くまで行ってみたいと思い、くさびを十数回もたたいた。すると急に耳元で風がうなり、目が開けられなくなって、ただただ鳶にしがみついておった。鳶が着陸したのを感じて目を開けてみると、そこは呉の地(現在の江蘇、浙江一帯)じゃった。
呉の人たちは、そらから怪物が下りてきて、それに白ひげの爺さんが乗っておったものじゃからびっくりしてしまった。これは妖怪に違いない、とその周りを取り囲み、有無を言わせず棒で老人をたたき殺してしまった。乗っていた鳶もずたずたに切り刻まれた。
何日待っても父親が帰って来ないので、魯班はもうひとつ鳶を作って、それに乗って探しに出た。呉の地まで飛んで来て、人に聞いてみると、父親はすでに殺されたあとじゃった。
怒りに震えた魯班は粛州(現在の酒泉)に戻って、木の仙人を彫った。そしてその指を東南の方向に向けた。その先は呉の地じゃった。その後、呉には雨が降らなくなって、日照りが続き、農作物の収穫もなくなってしまった。
3年経った。西方からやって来た商人の話で、この日照りは魯班の仇打ちのためだと知った呉の人々は、粛州にたくさんの贈り物を抱えて謝罪にやって来た。魯班は事の真相を知り、すぐさま仙人の腕を断ち切った。そのため呉の地にはたちまち甘露が降り始め、日照りは収まったそうじゃ。
その後、魯班は木の鳶を作ったこと、木の仙人を作ったことを愚かなことだったと反省して、どちらも燃やしてしまったのじゃ。そのため木の鳶も木の仙人も後の世に伝わることがなかったそうじゃ。
魯班が結婚して間もないころ、凉州(現在の武威)のお坊さんから仏塔を建ててほしいとの声がかかった。それに応えて、毎日凉州で仕事をしておったが、故郷に残してきた両親が心配でしようがない。それにもまして新妻のことが気にかかっておったのじゃった。
魯班は仕事を遅らせないで、家にも帰れる方法はないものかと考えた。
ふと見た空には鳥たちが飛んでおった。それを見て魯班は木で鳶(とび)を作ることを思いついたのじゃった。そしてその鳶に空を飛ぶための装置を取り付けた。鳶にまたがって、装置のくさびを3回たたくと、なんと鳶は空に舞い上がったではないか。しばらく飛んでいると敦煌の家まで帰りついてしまったじゃ。
それを見た女房は大喜びしたのじゃが、このことを魯班の両親に伝えると腰を抜かすのではないかと思って黙っておった。魯班はひと晩泊まると翌朝早く凉州に飛んで帰った。
こんな具合にしばらく往復しておったのじゃが、そのうちに女房のおなかが大きくなってきた。それを見た魯班の両親は不貞に違いない、と女房をとがめたのじゃった。
「魯班様は毎晩、木で作られた鳶に乗って帰っておいでです。信じられないのも無理はありません。今晩ご自分の目でお確かめください。」
夜になるといつもどおり魯班は鳶に乗って飛んで来た。それで騒ぎも収まったのじゃが、今度は父親が「息子よ。明日は仕事に出かけないで、家で休みをとったらどうじゃ。その間に、ワシにその鳶に乗せてくれんかのぉ。」と頼んだ。
翌朝、魯班は父親に操作方法を教えた。「近くまでなら少なめにくさびをたたくんだ。遠くへ行くときは多めにだ。明日は仕事へ行かなくちゃいけないから、早めに帰って来ておくれよ。」
父親は遠くまで行ってみたいと思い、くさびを十数回もたたいた。すると急に耳元で風がうなり、目が開けられなくなって、ただただ鳶にしがみついておった。鳶が着陸したのを感じて目を開けてみると、そこは呉の地(現在の江蘇、浙江一帯)じゃった。
呉の人たちは、そらから怪物が下りてきて、それに白ひげの爺さんが乗っておったものじゃからびっくりしてしまった。これは妖怪に違いない、とその周りを取り囲み、有無を言わせず棒で老人をたたき殺してしまった。乗っていた鳶もずたずたに切り刻まれた。
何日待っても父親が帰って来ないので、魯班はもうひとつ鳶を作って、それに乗って探しに出た。呉の地まで飛んで来て、人に聞いてみると、父親はすでに殺されたあとじゃった。
怒りに震えた魯班は粛州(現在の酒泉)に戻って、木の仙人を彫った。そしてその指を東南の方向に向けた。その先は呉の地じゃった。その後、呉には雨が降らなくなって、日照りが続き、農作物の収穫もなくなってしまった。
3年経った。西方からやって来た商人の話で、この日照りは魯班の仇打ちのためだと知った呉の人々は、粛州にたくさんの贈り物を抱えて謝罪にやって来た。魯班は事の真相を知り、すぐさま仙人の腕を断ち切った。そのため呉の地にはたちまち甘露が降り始め、日照りは収まったそうじゃ。
その後、魯班は木の鳶を作ったこと、木の仙人を作ったことを愚かなことだったと反省して、どちらも燃やしてしまったのじゃ。そのため木の鳶も木の仙人も後の世に伝わることがなかったそうじゃ。
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テーマ : ショート・ストーリー - ジャンル : 小説・文学
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